研究概要 |
本研究の目的のためには、片方の頭部をモーター活性が充分低い変異体にしたヘテロダイマーキネシンが必要である。15年度は、適切な変異体を見つけてヘテロダイマーキネシンを作成することを第一目標にした。目的に合ったヘテロ体が見つかったので、1分子ナノメトリーも行った。その結果、二足歩行モデルを示唆するデータを得ることができた。 1)低いモーター活性をもつ変異体ホモダイマー(Mut/Mut)のデザインと作成 運動活性が低い変異体の候補として、1)ATP結合部位の変異体(R14A/R14A, R16A/R16A, P17A/P17A)をデザインした。これらを精製して、微小管滑り速度を測定したところ、いずれも野生型の1/10以下であった。 2)ヘテロダイマーの機能解析-多分子でのスクリーニング 一方の頭部にそれらの変異を持つヘテロダイマーキネシンを申請者等の方法(Kaseda et al.,PNAS,2002)で作成した。いずれのヘテロダイマーも十分に低い微小管滑り速度を示した。 3)一分子ナノメトリーによる力・変位の測定 これらのヘテロダイマーの発生する力・変位の1分子計測を行った結果、ともにProcessivityを有し、3pN以上の力を発生することが測った。これらの中でWt/R14Aは、野生型が8nmのステップを繰り返すのに対して、一見16nmのステップを踏んでいるように見えた。詳細に解析した結果、Wt/R14Aでは非常に速い8nmのステップと遅い8nmのステップを交互に繰り返していることが判明した。 現在、この変異体の酵素反応速度論的解析を詳細に行っている。
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