研究概要 |
この研究の目的は、野生イネと栽培イネとの交雑後代自殖系統集団を用い、野生イネ組織内から単離された窒素固定能を持つエンドファイトの野生イネ組織内への感染、コロニー形成、窒素固定活性を支配している遺伝子の数および座位を量的遺伝子座(QTL)解析法を用いて解明することである。 佐藤は、目的のQTL解析に最適の交雑自殖後代系統集団を選ぶために、石井が作出している系統集団の親系統ついて窒素固定エンドファイトの感染およびコロニー形成能を平板法により評価した結果、野生イネ系統には栽培イネ系統に比較して内生菌数が多い系統が見出された。 南澤は、近縁野生イネ系統から窒素固定能を示すエンドファイトの単離・同定をすすめた。イネへの感染およびコロニー形成能の評価において必要であるカナマイシン耐性遺伝子およびgfp遺伝子を単離した細菌に付与をすすめた。されに、窒素固定酵素のRNA発現を調べることによる窒素固定能の評価方法を確立した。 東谷は、単離・同定された窒素固定エンドファイトおよび細菌を接種したイネ組織内に自生を確認する方法として、PCR法等を利用する解析方法を確立した。さらに、野生イネと栽培イネとの間に認められる接種菌の増殖を支配する要因としてイネ抽出物に注目し、解析をすすめた。 石井は、栽培イネと野生イネとの戻し交雑後代(O.sativa Nipponbare///O.rufupogon W630/Nipponbare//Nipponbare,O.sativa IR36///O.rufupogon W630/IR36//IR36,Nipponbare///O.meridionalis W1627/Nipponbare//Nipponbare,IR36///O.meridionalis W1627/IR36//IR36)BC_2由来のBC_2F_5合計4集団の作出をすすめた。作出された集団に関してはマイクロサテライトマーカー約100個を用いて遺伝子型データベースの構築をすすめている。
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