研究概要 |
1.タマネギバエの幼虫を日長・温度を厳密に制御した環境下で飼育することにより,非休眠,冬休眠,夏休眠の状態にはいった蛹を安定的に得られる実験系を確立した. 2.非休眠,冬休眠,夏休眠の蛹を同一の日長・温度条件下におき,一定時間ごとにサンプリングして液体窒素中に保存した.これらの材料をもちいて,休眠発育の進行とともに発現量が変化していると思われる遺伝子をディファレンシャルディスプレーにより探索した. 3.発現に差異のある遺伝子の候補を多数みつけることができた.その多くについてクローニングおよびシークエンスを行いつつある.シークエンスが決定されたものについて,公共遺伝子データベースに登録されている遺伝子との相同性検索を行ったところ,相同性の高い遺伝子はみつかるものの,そのほとんどの機能は未知であった.機能が推定されている遺伝子もいくつか発見されたが,そのほとんどはヒートショックプロテインhspであった. 4.すべての候補遺伝子について全塩基配列情報を決定するのは労力的に不可能と判断されたので,ノーザンブロッティングおよびリアルタイムPCRを用いて,遺伝子の発現が休眠発育の完了と連動して変動していると思われるものを検索している. 5.一部の遺伝子については,3'RACEおよび5'RACE法を用いてcDNAの全塩基配列決定を試みている. 6.hspについては,その休眠発育への関与について,休眠発育の進行にともなう発現量変動パターン等を中心に詳細な検討を行っている.
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