研究概要 |
カドミウム超集積植物であるThlaspi caerulescensを用いて、根からのカドミウム可溶化物質の分泌及びび地上部におけるカドミウムの局在性、化学形態について調べ、以下のような成果を得た。 1.根からの分泌物を採集し、カドミウムとのキレート能を調べた結果、分泌液中にカドミウムと結合する物質の存在が確認できた。現在、この物質を精製して、同定を行っているところである。 2.Thlaspi caerulescensは葉に8000ppmのCdを集積することができる。プロトプラストを調製し、カドミウムの局在性を調べたところ、9割以上のカドミウムがプロトプラストに存在していた。また液胞を単離して、液胞内のマーカー酵素であるacid phosphataseの活性を指標にカドミウムの量を比較した結果,ほとんどのカドミウムが液胞に局在していもことが明らかとなった。 3.葉にあるカドミウムの8割近くは可溶性の形態で存在していた。^<113>Cd-NMRを用いて葉におけるカドミウムの存在形態を調べたところ、-17ppm付近にシグナルが観察された。葉から細胞質液を得て、ゲルろ過やイオンクロマトグラフィなどを用いてカドミウム画分を精製した結果、アニオン画分に葉と同じケミカルシフトを示した。この画分をさらに精製し、カドミウムとの結合物質を^1H-NMRなどで同定した結果、リンゴ酸であることをつきとめた。これらのことはThlaspi caerulescensにおいて高濃度のカドミウムはリンゴ酸と結合して、液胞に局在することによってカドミウムを無毒化していることを示している。
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