Rous salcoma virus (RSV)由来integraseとその認識部位を組み込んだプラスミドを培養細胞およびニワトリ胚へ導入し、プラスミドに組み込まれた遺伝子の安定した遺伝子発現を培養細胞およびニワトリで試みるという目的で本実験を実施し、下記の成果を得た。 1)上記プラスミドをCHO細胞へ導入し、G418薬剤耐性コロニー数を調べたところ、integraseを持たないコントロールプラスミドを用いた時に比べて2倍以上の効率で薬剤耐性コロニーを得ることができた。 2)上記プラスミドにレポーター遺伝子としてEGFP遺伝子を持ったプラスミドをニワトリ胚へ導入したところ、プラスミド由来DNAを持ったニワトリが孵化した。 3)上記EGFPはCMVプロモーターによって転写されるが、上記1)のニワトリのリンパ球でその発現を解析したところ、発現は見られなかった。しかし、LPSで刺激することによってその発現を誘導することができた。 4)ニワトリ卵中に発現させるものとして、マウスIgGをモデルとし、抗犬パルボウイルスモノクローナル抗体産生ハイブリドーマよりマウスIgG κ鎖およびγ鎖をクローニングし、塩基配列を決定した。さらに、このcDNAを用い、ニワトリ卵へ導入するためのプラスミドを作製した。 5)ゲノムへ挿入されたと思われるプラスミド由来遺伝子が発現するように、ニワトリlysozyme 5'LCRをPCRによりクローニングした。
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