研究課題/領域番号 |
15658048
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 進一郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (90092139)
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研究分担者 |
松田 陽介 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30324552)
中西 健一 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30293608)
光永 徹 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20219679)
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キーワード | ブナ科樹木 / 葉内内生菌 / 地域間差異 / 水平伝播 / 袋がけ / Macrophoma spp / Qgi-P |
研究概要 |
樹木園(三重県科学技術振興センター林業研究部)に植栽されたブナ科樹木20種を対象に、その葉内内生菌を明らかにするため、5月から落葉期まで月に1回試料を採集し、菌類の分離試験を行った。その結果、7種の樹木(ヨーロッパナラ、ヨーロッパブナ、コナラ、ミズナラ、ナラガシワ、マテバシイ、シリブカガシ)の葉身から、優占する内生菌が明らかとなった。その中で、ヨーロッパナラ、ミズナラ、シリブカガシからは、共通してMacrophoma spp.が分離され、この内生菌の宿主範囲が広いことが明らかとなった。 次に、コナラが優占する7地域の林分(奈良県、兵庫県、滋賀県、石川県、静岡県の各1林分、三重県の2林分)に試験地を設定し、月に1回各3個体のコナラの葉から菌類の分離を行った。各試験地とも、最も優占して分離された内生菌は、Macrophoma sp.であることが明らかとなった。優占内生菌Macrophoma sp.の分離率は、いずれの地域でも新葉の展開後(6月)最も高く、その後落葉時期(11月)に向かい減少傾向を示した。 草本類の内生菌は、垂直伝播することが知られている。そこで、木本類についても内生菌の感染時期を明らかにするため、イチイガシ当年生枝に袋がけ試験を行い、2週間間隔で試料を採集し、菌類の分離を行った。イチイガシに最も優占した内生菌(未同定菌、Qgi-P)は、袋がけ処理した葉からは分離されなかった。また、展開前の芽や展開直後の葉からも分離されなかった。これらのことから、優占内生菌は新葉が展開後に胞子によって感染する水平伝播であることが示唆された。
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