ブタを実験動物として用い、脳内神経伝達物質の動態と摂食行動の関係を検討するためには、in vivoで、ブタ脳特定部位にカニューレを挿入し、経時的に脳室液や細胞外液を採取したり、薬剤を注入する必要がある。しかし、家畜ブタは成長が早く、特定の適齢あるいは特定の体重の動物を得ても、その頭部の大きさはまちまちで脳地図に基づいても特定部位へのカニュレーションは困難である。そこで、本研究では、ブタ頭部のCTスキャン連続画像(外観、頭骨、脳)と脳スライス断面連続画像(脳内部)からの輪郭抽出データを三次元モデリングシステムに応用してそれぞれの位置関係を三次元画像に再構成することを試みた。 ブタ頭部よりのデータ採取法の検討:まず体重20kgの成ミニブタの頭部のCTスキャン画像を撮影したところ(大阪府大学動物病院)、頭骨が厚く脳カニュレーション手術には不適切であることが明らかとなった。そこで、幼齢家畜ブタ(体重10kg程度)頭部試料を採取し、和歌山県工業技術センターの協力を得て検討したところ、頭部外観、頭骨、脳の位置関係を明瞭に示すには、頭部冷凍試料のCTスキャン像と、ホルマリン固定脳のCTスキャン像を組み合わせるのが適切であることが判った。 ブタ頭部連続画像:産業用CTスキャナ(TOSCANER-24200AV)を用いて、幼齢豚の頭部と、ホルマリン固定脳のCTスキャン画像を得た。撮影条件はスキャンエリアでΦ150mm、スライス厚1mm、マトリックスサイズ512x512、ウインドウレベル1、ウインドウ幅1000で、頭部で190〜200枚、脳で約70枚の画像を得た。またCT撮影に使用したホルマリン固定脳を2mm厚で切断し(顔面部から後頭部へ)そのスライス面をデジタルカメラで撮影した。 連続画像の三次元化:CTスキャン連続画像はBMPファイル形式で保存し、画像処理ソフトウェアのScion ImageとCOSMOSを用いて、頭部輪郭、頭骨輪郭、および脳輪郭を輪郭抽出し、それらの外観図を得た。脳断面図の三次元化は実施中である。
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