1.二次元電気泳動でラット初期着床胚および卵黄嚢膜のプロテオーム解析をするための胚サンプルの可溶化法および電気泳動条件を改良した。その結果、サンプルの酸化還元によるアーティファクトを減らし、タンパクスポットの検出感度を高めることが出来た。改良した方法を用いて、全胚培養法により胎齢10.5日から11.5日の培養期間中に亜セレン酸ナトリウムに暴露したラット胚の解析を実施中である。 2.前年度にアフィニティクロマトグラフィーにより同定されたラット胚栄養因子と結合するタンパクは、卵黄嚢膜上には発現していないことが確認され受容体タンパクではないことが結論された。そのため、卵黄嚢膜と胚栄養因子をクロスリンクした後に免疫沈降により結合タンパクを同定する方法を検討中である。ま左、胎齢9.5日胚での胚栄養因子結合タンパクの分布を、FITC標識胚栄養因子を用いて調べたところ、胚には少なく卵黄嚢膜に多く結合タンパクが観察されたことから、胚および卵黄嚢膜タンパクのディファレンシャル解析により胚栄養因子結合タンパクを同定する計画である。 3.ラット胚のプロテオームマップ作成のために、前年度からさらに二次元電気泳動により分離される比較的多量に発現されているタンパクスポットについて、ゲル内消化ののち質量分析を行い、マススペクトルのデータベース検索により、チューブリン、ヘモグロビンなどを同定した。また、発現量が少なめのタンパクとして、エノラーゼなどを同定した。引き続きタンパクスポットの同定を進めるとともに、これらのタンパクをマーカーにしたラット胚および卵黄嚢膜のプロテオームマップを作成中である。
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