乾物生産量と蒸発散量の計測から共生窒素固定量を推定する方法について検討を行い、以下の結果を得た。 1.ダイズの根粒非着生系統T201と根粒着生系統T202とを数種の窒素条件下で栽培した。乾物生産量と蒸発散量の間の直線関係に注目したとき、両系統の間の無効蒸発散量(乾物生産量が0のときの蒸発散量)に差異が認められ、またこの差に相当する乾物消費コストと共生窒素固定量との問に比例関係を認めた。根粒着生および共生窒素固定量に差異を誘導することを目的として、ソラマメとラッカセイを多窒素と少窒素の2条件で栽培したときにも上記と同様の関係が認められた。乾物消費コストと共生窒素固定量の間の比例関係から推定した窒素固定コストは約210MJ/kg Nであった. 2.現在窒素分析中であるが、ダイズの根粒非着生系統「En1282」、正常系統「エンレイ」、および超着生系統「作系4号」の間の「乾物生産量-蒸発散量関係」に差異が認められた。また、ヘアリーベッチを少窒素および多窒素条件下で栽培したときにおいても「乾物生産量-蒸発散量関係」に違いが認められた。 3.葉切除によってC/F比を物理的に制御したとき、蒸散係数は有意に増加した。また、乾物生産量と蒸発散量の問に認められる直線関係における比例係数(蒸散係数)は生育ステージとともに変化し、さらにこの変化は生育ステージの進展に伴うC/F比の増大と関連づけられた。 4.裸地面蒸発量に関連する気象要因としては、とくに日射量と飽差の影響が大きいことがわかった。現在、圃場でソラマメを栽培し、生育に伴う裸地面蒸発量の変化とその関連要因を調査中である。
|