研究概要 |
蛍光偏光度測定法を用いて、内分泌攪乱物質の簡便かつ迅速なスクリーニング法を開発するとともに、多種類の化学物質のスクリーニングを行い、化学物質の構造と内分泌攪乱作用との関係を解明することを目的として研究を行った。 我々は、既に、エストロゲン受容体に高い親和性を有する蛍光標識エストラジオールを開発している。平成15年度は、この試薬を用いて、21種類の化合物(ホルモン、薬物、工業化学物質、植物エストロゲン)のエストロゲン-αおよびβ受容体への50%阻害濃度およびHill係数を求めた。その結果、50%阻害濃度から求めた各物質のエストロゲン受容体への親和性は、従来のアイソトープを用いたレセプターバインディングアッセイ法と同等であり、本法により化学物質のエストロゲン受容体への結合能が正しく評価できることが示された。また、pseudo-Hill plotにより求めたHill係数と各化合物の作用様式(agonist, partial agonist, antagonistなど)の関係を検討した。その結果、α、βいずれの受容体においても、Hill係数により化合物の作用様式が分類できることが明らかになった。この結果は、化学物質と結合したエストロゲン受容体が、化学物質の作用様式により異なる立体構造をとることに対応していると考えられる。したがって、50%阻害濃度により結合能が、Hill係数により作用様式が予測でき、本法が、内分泌攪乱物質の簡便かつ迅速なスクリーニング法となる可能性が示唆された。
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