本研究計画は、環境ストレス応答の分子メカニズムの解明を目指し、まずその足掛かりのために、MAPKKKの網羅的なインタラクトーム解析(生体分子間相互作用の組織的解析)を行うものである。本年度は昨年度に引き続き効率的Two-hybridスクリーニング法の開発を行った。我々がこれまでASK1研究で用いてきた酵母Two-hybridシステムを基本として、さらに、使用する酵母種や基本手法などの条件について検討を重ね、より迅速でかつ正確な改良型酵母Two-hybridシステムの構築を行った。その結果、接合を利用したクローンテック社の酵母Two-hybridシステムを改良することにより、様々なキナーゼをベイトとするスクリーニングを同一のプレイライブラリーから同程度のバックグラウンドでスクリーニングすることが可能となった。そこで実際に機能未知の新規MAPキナーゼキナーゼキナーゼASK3の生理機能解明を目的として、腎臓のcDNAライブラリーを用いた酵母Two-hybrid screeningによってASK3結合分子の同定を試み、両者の関係からその生理的役割について検討した。その結果、ASK3結合蛋白質としてWNK4を同定し、ASK3との共発現によりWNK4がリン酸化されること、高浸透圧刺激によりASK3が不活性化され、それに伴いWNK4が脱リン酸化されることを明らかにした。
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