研究課題/領域番号 |
15659034
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
細谷 健一 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70301033)
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研究分担者 |
寺崎 哲也 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (60155463)
登美 斉俊 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (30334717)
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キーワード | 網膜ペリサイト / 血管新生 / 細胞増殖抑制因子 / 網膜ペリサイト株 / 網膜毛細血管内皮細胞 / PKC / MAPK |
研究概要 |
網膜ペリサイトから分泌されている血管内皮細胞増殖抑制因子を同定する目的で、網膜ペリサイトとして条件的不死化網膜ペリサイト株(TR-rPCT)を用いて培養上清(rPCT-CM)を濃縮・調整し、条件的不死化網膜毛細血管内皮細胞株(TR-iBRB)における増殖抑制効果およびそのメカニズムを解明した。TR-iBRB細胞の増殖抑制効果、DNA合成量の低下はrPCT-CMの濃度依存的であった。増殖抑制効果は、ヒト臍帯静脈内皮細胞およびヒト網膜毛細血管内皮細胞においても示された。虚血誘導性網膜症マウスを用いたin vivoにおいて、rPCT-CMは虚血誘導性網膜血管新生を抑制することが示された。TR-iBRB細胞に5X rPCT-CMを添加した時の細胞周期制御タンパクへの影響をWestern blot法で解析した。G1からS期への移行を促進するタンパクであるcyclin D1、cyclin-dependent kinase 4(cdk 4)、cdk 6の発現が低下した。さらに、DNA polymerase-δassociated proteinであるPCNAの発現も減少した。従って、rPCT-CMはG1からS期への細胞周期移行を抑制していることが示唆された。さらに、rPCT-CMはTR-iBRB細胞におけるprotein kinase C(PKC) α/βIIおよびp44/42 mitogen-activated protein kinase(MAPK)の発現を抑制した。以上の結果から、網膜ペリサイトから分泌されている液性因子はPKC介在型p44/42 MAPKシグナリングを抑制することによって網膜毛細血管新生を制御していることが示唆された。
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