研究課題/領域番号 |
15659048
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
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研究分担者 |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80311976)
工藤 宏幸 順天堂大学, 医学部, 講師 (20161648)
細山田 康恵 千葉県立衛生短期大学, 講師 (70196608)
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (10343485)
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キーワード | コラーゲン / 筋線維芽細胞 / 腸絨毛 / 陰窩 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
人体における多様な臓器の間質の例として、腸粘膜の間質を観察した。ラットの十二指腸、空腸、回腸、大腸をとりあげ、電子顕微鏡により絨毛内の粘膜固有層上部、陰窩領域の粘膜固有層下部、および粘膜筋板より下の粘膜下層の間質の構造を、とくに細胞要素と細胞外基質に着目して観察した。その結果、腸粘膜の間質では、粘膜内の位置によってコラーゲン線維と間質細胞の配列と密度が異なり、腸上皮の直下にコラーゲン原線維と筋線維芽細胞の突起がつくる網工があるが、それ以外の間質腔では粘膜固有層上部では細胞外基質に乏しく、粘膜固有層下部ではコラーゲン原線維の小束が散在した。また粘膜下層では、コラーゲン原線維の大きな束が豊富にあり、これ以外に平滑筋層の近くに細いコラーゲン原線維が散在していた。これらの結果から、腸絨毛では間質の圧による外向きの膨張する力と、上皮直下のコラーゲン線維と筋線維芽細胞が作る網工による内向きの牽引力が逆方向に働き、腸絨毛を支持する力のバランスを作っていること、陰窩ではこれらの力が同方向に働いて陰窩の内腔を閉じていることが示された。また粘膜下層の結合組織がもつ2種類のコラーゲン線維束は、分布および太さによって明確に区別できる。これら2群のコラーゲン線維は、Hosoyamadaらにより肝臓のグリソン鞘の結合組織にて、および外分泌腺の導管周囲の結合組織にてすでに観察されて、合成分泌する細胞種の違いが想定されている。
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