本年度は、申請内容の趣旨に沿い、以下の成果を上げた。大半は研究途上にあるが、1件に関しては、論文投稿中である。 1.酵母細胞内におけるアミロイド性蛋白質の凝集状態を可視化するシステムを構築した。そのために、シヌクレイン、タウ蛋白など7種の蛋白質について、その遺伝子に蛍光性蛋白質YFPもしくはCFPを結合させた融合遺伝子を作成し、酵母系に導不した。その系に対して蛍光顕微鏡観察を行い、期待したとおりの細胞内凝集を検出した。 2.2つの薬剤耐性遺伝子をSup35、のN+Mドメインに結合させた遺伝子を酵母細胞内に発現させることで、Sup35の細胞内凝集状態をスクリーニングするシステムを構築した。現在、その検出系の特異性や感度について検討を行っている。 3.蛍光性蛋白質CFP、とYFPをSup35のN+MドメインのN末とC末にそれぞれ融合させた遺伝子を酵母細胞内に発現させ、CFP・YFP間の蛍光エネルギー移動を測定することで、Sup35の細胞内での凝集や構造の状態を解析するシステムを構築した。現在、そこから得られる構造情報について検討を行っている。 4.生体内凝集のモデユレーター酵素の候補とされる、トランスグルタミナーゼ(TG)が病因的アミロイド凝集に及ぼす影響を、試験管系と細胞系で詳細に比較解析するため、TG存在下での複数のアミロイド性蛋白質の凝集を解析するシステムを、試験管系と酵母系の両方において構築した。試験管系の実験が先行し、その結果は既に一定段階に達したため、論文として投稿中である。酵母細胞内での現象は、現在解析中である。
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