本研究では、生細胞内におけるプリオン/アミロイド性凝集の諸過程を解析し、それを制御する因子を明らかにするために、以下1)と2)に大別される実験的アプローチと、その両者の有機的融合を目指した。 1)生細胞内におけるプリオン/アミロイド性凝集の精確な観測・解析システムの開発 2)生細胞環境を再現する試験管実験系の構築と、そこでのプリオン/アミロイド性凝集の解析 前者1)については、似下の2者の開発をはかり、それを実現した。 1)-(1)複数種類のプリオン/アミロイド性凝集性蛋白質の酵母細胞内凝集を同時に蛍光法で観察するシステム 1)-(2)これら細胞内凝集体の微細構造の変化をFRET法で感知するセンシング法 他方、2)については、 2)-(1)凝集体の微細構造を非定形態から繊維状形態に変化させる溶液因子としてのイオン性因子の役割 2)-(2)酵素修飾が蛋白質凝集を制御する典型的な場合としてのトランスグルタミナーゼ修飾の詳細 2)-(3)繊維状凝集体に特徴的なβシート構造形成の分子ダイナミクス などを解明した。以上ついては、既に論文5報の公表を終えている(文献参照)。現在は、1)と2)それぞれの一層の進展・一般化をはかると共に、他方ではその両者を融合させるために、酵母プリオン系と1)-(2)で開発したセンサーを利用した発展的研究を実施中である。本予算期間終了後も、以上の成果に基づき、細胞内凝集の直接解析に関する1研究領域を確立する努力を継続する。
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