研究課題
発生過程での電気的活動の役割を明らかにするための膜電位プローブを遺伝子に基づいて構築する技術を開発することが本研究の目的である。前年度、バクテリアカチオンチャネルを用いた解析から、発現量の多い電位センサータンパクを用いる必要に迫られた。今年度は、昨年度の終わりにゲノム解析から偶然見出した、ホヤ電位センサータンパクの分子特性を明らかにする実験を行った。このタンパクは、電位依存性チャネルの電位センサーを有しながらイオンが通るボア領域を欠き、その代わりにC末端側にガン抑制遺伝子として知られるPTENと相同性の高い酵素ドメインを有する新規分子である。ツメガエル卵母細胞への発現系を用いて、この分子がPIP3の燐酸を脱リン酸化する酵素活性を有すること、またその酵素活性が膜電位に依存して変化することを見出した。この分子は、電位センサーがイオン通路以外の機構を制御する始めての例となり、従来イオンチャネルのみに重点が置かれて研究されてきた膜電位変化の役割を、広い立場から捉えなおすための新たな分子レベルでの視点を提供する(日本生理学会発表、Nature改訂中、特許申請中)。
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