研究概要 |
腎未分化間葉細胞は発生過程で間葉細胞から上皮細胞へ形質変換しネフロンの20種類もの細胞に分化する。これらの中には腎幹細胞が含まれると考えられている。本研究は、未分化間葉細胞の中に存在する腎幹細胞の形質について検討した。まず、SV-40large T抗原をcarryしたtransgenic miceの胎児(E12.5)から未分化腎間葉細胞を単離培養し、培養系を確立した。この細胞は間葉細胞としての形質であるvimentinそしてN-CAM, WT-1,を発現し、未分化腎間葉細胞としての形質を有することがわかった。さらに血管内皮細胞あるいはその前駆細胞としての形質であるVEGF receptor2(flk1) receptor 1 (flt1),tie2,CD31,およびpodocalyxinをも発現し、血管芽細胞としての形質を有することが示された。一方で、成熟内皮細胞マーカーとされるvon-Willebrand factor (vWF)やVE-cadherinなどの発現は認めなかった。これらの細胞を14日間分化誘導下に置くとvWFを発現することが確認された。しかしVE-cadherinの発現はみられなかった。また、この2つの因子の発現はcollagen type IV依存性ではないことが示された。現在、この細胞をcloningし、多分化能について尿管芽との共培養を行い腎幹細胞としての可能性を検討している。
|