研究課題/領域番号 |
15659067
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
寺岡 弘文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30019137)
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研究分担者 |
寺本 研一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80197813)
斉藤 佳子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教務職員 (50178969)
朝比奈 欣治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (40345294)
田中 雄二郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 教授 (70236644)
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キーワード | 肝細胞 / 肝細胞移植 / 臍帯血 / ES細胞 / 細胞分化 / 再生医療 / 肝臓移植 / 霊長類 |
研究概要 |
我々は、性質がヒトES細胞に類似したカニクイザルES細胞およびヒト臍帯血有核細胞から肝細胞の分化誘導・増幅を目指し、肝臓の再生医療応用へ向けた基礎研究を展開している。すでに、マウスES細胞から、機能を有した肝細胞への分化誘導を報告した(Hepatology,2002)。同様の細胞分化誘導は、ヒトES細胞においても期待できるが、マウスとヒトのES細胞は未分化状態の維持機構をはじめとして、多くの相違点があることから、実際にヒトES細胞から再現性よく肝細胞が分化誘導されるのかどうか不明である。我々は霊長類ES細胞の性質に鑑み、将来、生命倫理問題の多いヒトES細胞を用いた研究を円滑に行うためには、サルES細胞を用いた十分な基礎研究が必要であると考えている。またこれら非肝臓源から分化誘導した肝細胞を、肝臓移植に替わるあるいはそれを補完する肝細胞移植医療に使うには、増幅方法の工夫も必須となっている。今年度はまず、カニクイザルES細胞から懸滴培養により胚葉体を作成し、接着培養を行ったところ、アルブミンなどを発現する肝細胞様細胞が分化誘導できた。尿素合成能や薬物代謝能などの肝細胞の機能を検定中である。また、ヒト臍帯血有核細胞から、in vitroおよびin vivoにおいて肝細胞系列への分化誘導に成功し、ヒト臍帯血は血液疾患以外に、肝細胞移植医療にも利用できる細胞源となる可能性を明示した。一般には、肝実質細胞と胆管上皮細胞に共通する肝前駆細胞が存在する。本研究においては、アルブミンとCK-18を発現する肝実質細胞と、アルブミンとCK-19を共発現する肝前駆細胞の存在を証明したが、CK-19を単独発現する胆管上皮細胞は確認できなかった。現在、胆管上皮細胞への分化誘導をin vitroにて追究中である。
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