SAGE法により、世界最大のSAGEライブラリーを完成し(GEO accession no.GSE545)、胃癌の発生・進展に関与する多くの遺伝子を同定してきた。その内、REGIVについては、全長cDNAからrecombinant蛋白を作成し、SELEX法により、RNA aptamerの精製を試みた。オリゴヌクレオチドライブラリーをstarting poolとし、REGIV蛋白と結合したオリゴヌクレオチドをfixed sequenceをプライマーとしてPCRで増幅、この結合、分別、増幅のサイクルを10回以上繰り返した。この過程を数回行ったが、ゲルシフトアッセイ等で特異的結合は確認できず、現在さらに検討中である。平行して、ポリクローナル抗体を作成し、REGIVの組織局在を免疫組織化学的に検討した。REGIVの発現は、非癌組織では胃の腸上皮化生および内分泌細胞に認められ、胃癌の約30%に陽性であり、特に腸型粘液形質を有するものに頻度が高かった。乳癌、肺癌では全く陰性であったが、大腸カルチノイドおよび大腸癌では高頻度に陽性であり、大腸癌ではステージの進行と相関していた。REGIVの機能に関しては、動物モデル系において腹膜播種を促進することを見い出し、さらに数種の細胞質内および核内蛋白と相互作用を示すことを明らかにした。一方、新たなSELEX法によるaptamer作成と抗体作成の標的として、胃癌SAGEライブラリーとデータベース中の主要な12種類の正常臓器のライブラリーとの比較および定量的RT-PCR法による実際の胃癌と正常臓器における発現解析から、少なくとも8つの癌特異的発現遺伝子を同定した。シグナル伝達、蛋白分解などの機能以外に癌に関する検討はなされておらず、これらについて、recombinant蛋白を作成した。
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