研究課題/領域番号 |
15659096
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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研究分担者 |
中島 豊 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50135349)
米満 吉和 九州大学, 大学病院, 講師 (40315065)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
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キーワード | 関節リウマチ / FGF-2 / センダイウイルス / 遺伝子治療 / IL-17 |
研究概要 |
原因不明の全身性炎症性疾患である慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)について、ラットアジュバント誘発RAモデルを用い、新規ベクターによる生体内での特定分子の過剰発現・機能制御がRAの疾患形成に及ぼす影響を解析し、病態の分子機構に基づいたRAに対する独自の新規かつ有効な遺伝子治療法の確立を目指した。我々は昨年度までにFGF-2がRAの病態の増悪因子として作用することを明らかにしてきた(J Immunol,2002)が、今年度は、FGF2のシグナルの遮断の視点から、FGFR1搭載センダイウイルス(SeV-hsFGF2)を調製し、ラットRAに対する影響を検討した。その結果、SeV-hsFGF2は、RA発症ラットの病態(踝の腫脹、パンヌスの破壊)を改善し、FGF2のシグナルの病態形成への意義とこのシグナルの遮断が治療に極めて有効な手段であり得ることを明らかにした。 次に、T細胞誘発炎症に関わるとされるIL-17について、RA滑膜組織で発現の報告があることから、RA滑膜組織における病態形成への関与、特に血管新生因子発現の影響をヒト培養滑膜細胞を用いて検討した。その結果、IL-17ではFGF-2、VEGFとも発現誘導効果を認めず、炎症性サイトカインの誘導はともかく、直接的な作用は薄いことが判明した。現在、こうしたRAの病態を増悪しうる血管新生因子の調節因子の検索と、さらにFGF-2シグナル遮断については、新たに効果的な分子標的因子としてのsprouty-2等について細胞内シグナルの遮断効果について検討するなど多方面から解析を進める予定である。
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