研究概要 |
・Gemininのdestruction boxをノックアウトした細胞株の樹立 Geminin遺伝子のdestruction box領域を特異的にノックアウトする目的で、前後にloxP配列を付加したネオマイシン耐性遺伝子(Neo)を持つノックアウトベクターを作製した。ヒト大腸癌細胞HCT116に導入し相同組み換え体(+/-)を同定し、Creリコンビナーゼ酵素でNeoを除去(+/loxP)し、再度、+アレルでの相同組み換え体を得た(-/loxP)。得られた細胞(wild type,+/-,-/loxP)についてmRNA・タンパク発現量、細胞増殖性、DNA複製能、細胞周期のFACS解析、EBV OriPからのDNA複製能およびヌードマウス皮下移植による造腫瘍性について検討した。 ・ドキシサイクリンによりMCM7をコンデショナルに発現可能な細胞株の樹立 HCT116細胞にテトラサイクリン制御性トランス活性化因子をコードするpTet-offベクターおよびC末端にFLAGタグを付加したMCM7をコードするpTRE2-Hygベクターを導入し、ドキシサイクリンによりMCM7-FLAGの発現レベルを調節可能な細胞株を作製した。この細胞を用いてMCM7の細胞周期に対する影響、EBV OriPからのDNA複製能およびヌードマウス皮下移植による造腫瘍性について検討した。 研究成果 Gemininの細胞周期依存的タンパク分解に重要なdestruction boxがヒト細胞において、EBV OriPからのDNA複製と造腫瘍性に重要であることを証明した(Oncogene 23:58-70:2004)。 Geminin・Cdt1の下流に位置するMCM7の発現増強がGeminin同様、EBV OriPからのDNA複製と造腫瘍性に関与することを明らかにした(FEBS Letters 553:213-217,2003)。
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