インフルエンザウイルスの抗原変異によるワクチン効果の無効化を打破するため、ファージディスプレイ反応による、ミミック抗原作成の試みを中心として、3つの方向からの検討を行った。 1)抗原変異がなぜ起こるかを検討した。2)DNAワクチンの可能性を検討した。3)ファージディスプレイ反応による、ミミック抗原作成の試み 結果 1)インフルエンザは抗原変異をするからワクチン効果がなくなり、毎年新しいワクチンにしなければならないと言っていたのは、むしろ誤りで、抗体の弱さが抗原変異を誘導しているのであり、効率の良いワクチンは抗原変異に打ち勝つことができるという解釈に行き着いた。 2)DNAワクチンの有効性を確認できた。 3)HAの亜型を超えて、中和活性を持つモノクローナル抗体1種類(c179)を用いて、抗体結合領域に結合するペプチドを検索するため、ファージディスプレイ法を用いて検索を行った。3^<rd> panningの後、ERISA反応で抗体に結合するファージを48クローン選択し、抗体の中和活性の阻害効果を測定したが、顕著な阻害効果は見られなかった。これは、ファージが抗体の抗原結合部位以外の部分に結合しているためだと思われる。選択クローンを増やすこと、または構成ペプチドを変化させる、例えばS-S結合を入れて二次構造をもったペプチドにする等の方法で改良は可能と思われるので、今後も追及していきたい。
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