AIRE (autoimmune regulator)は遺伝性の自己免疫疾患APECEDの原因遺伝子である。AIREは胸腺髄質上皮細胞に強く発現していることから、自己寛容の成立過程に重要な役割をはたすと考えられるが、そのメカニズムについては不明な点が多い。本研究ではAIREが2つのPHDドメインをもつことに着目し、E3 ligaseとしてのAIREの機能を解析した。すなわち、AIREの2つのPHD fingerドメイン(PHD1およびPHD2)についてGST融合蛋白を作製し、in vitro ubiquitylation assayを行った。その結果、N末側のPHDドメイン(PHD1)がE3 ligase活性をもつことが明らかになった。PHD1によるAIRE活性は、バキュロウィルス発現系を用いて作製したAIRE全長蛋白でも確認した。次いでAIREのE3 ligase活性とAPECED発症との関連を検討する目的で、APECED症例で報告されているPHD1 missense mutant (C311YおよびP326Q)を作製し、in vitro ubiquitylation assayを行ったところ、これらのdisease mutantでは野生型AIREと比較しE3 ligase活性が著明に減弱していた。これに対して、PHD1 disease mutantのGal4-binding assayによる転写活性化能は野生型と差異を認めなかった。Disease mutantであるC311YおよびP326QでE3 ligase活性が減弱していることから、AIREのE3 ligase活性が自己寛容の成立過程に重要な役割をはたしていることが示唆され、今後はAIREによってユビキチン化される基質の同定が重要な課題と思われる。
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