研究概要 |
本研究課題の中で、最も重要な"すべてのがん"の診断(screening)を単一の分子、即ちsurvivinで実現出来るか否かの普遍性については、昨年度に診断学的感度からある程度検証された(Sugahara and Kamihira, et al.IJH80:52-58,2004)。 今年度は、具体的に臨床検査として測定法の問題点について検討した。 即ち、検査対象がmRNAの為に、実際の臨床検体では、1)sample-to-sample variation,2)mRNA integrity,3)RT efficiency by PCR,3)cDNA loading variation,4)measure normalization,5)data standardizationの諸問題が解決されないままになっており、この点を下記のように検討した。 中でも、臨床を前提とした場合,検体のサンプルバリエイションは避けがたいことから、次善の策として、GAPDH,beta-actin,PBGD,18S rRNAなどのhouse keeping geneによるnormalization/standardizationが一般てきであるが、その点に関する検証の結果を下記のように得た。 1)mRNAの絶対定量には28S/18S rRNAの比が少なくとも30%以上のintegrityを必要とする。30%以下のmRNAでは相対定量とする。 2)House-keeping Geneは細胞の種類・cell cycleごとに異なる発現プロファイルである。例えば、Normal lymphocyte, Chronic ATL cells, Acute ATL cells, Hematopoietic cell lines, Solid tumor cell linesの異なる一定量での各種HKGの発現量は,GAPDHで20倍、beta-actinで4倍、18S rRNAで30倍、PBGDで66倍異なる。 実際に、survivinの絶対定量を上記の4種のHKGでnomalizationして検討した結果、実際の臨床検体においても検証された。今後は、具体的な臨床応用における方法論の解決が必要である。
|