研究課題/領域番号 |
15659146
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
磯 博康 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50223053)
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研究分担者 |
谷川 武 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (80227214)
森山 ゆり 高知県衛生研究所, 保健科学部, 主任研究員
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キーワード | インスリン抵抗性 / 耐糖尿異常 / 糖尿病 / 健康教育 / 介入研究 / 無作為化比較試験 |
研究概要 |
本研究は地域住民を対象として、住民検診において、インスリン抵抗性、耐糖能異常もしくは糖尿病を有する者を把握し、地域における健康教育を計画的、系統的に行うことにより、インスリン抵抗性、耐糖能の改善と、生体内の炎症・酸化亢進状態の改善を目指す。そのため、健康教育プログラムの開発と無作為比較試験によるプログラムの評価を行う。対象地域は茨城県の県西部のK町(人口1.7万人)である。同町は1981年より高血圧の予防・管理を中心とした脳卒中予防対策を継続実施しており、地域の保健師(5名)、栄養士(2名)、保健事務員(2名)との協力体制のもとに教育プログラム実施並びに評価を行う。 循環器検診(基本健康診査)受診者(3,400人)の中からHOMA指数[空腹時血糖(mg/dl)×空腹時インスリン(μU/mL)/405]が1.5以上、空腹時血糖が110mg/dl以上、非空腹時血糖が140mg/dl以上、あるいは糖尿病内服治療中の者(インスリン治療者は除く)計570人を選び出した。検診後、上記の者へ健康教室参加を勧奨し、第1回目の教室参加者約197人に対して、1)空腹時採血による血糖、血清インスリンの測定、2)身長、体重、腹囲の計測、3)血清の炎症マーカー(hs-CRP)の測定、4)食生活、運動、喫煙、飲酒に関する問診を行った。そして、各人からその後の集中的な健康教室の参加希望の有無と先発指導群、後発指導群の無作為割付に対するインフォームドコンセントをとった。インフォームドコンセントが得られた150人に対し、先発指導群(先の3ヶ月でさらに4回の教室実施)75人と後発指導群(次の3ヶ月でさらに4回の教室実施)75人に割り付け、先発指導群の教室終了後に両群に対して上記の1)〜3)の調査を繰り返し、健康教室の評価を行った。その結果、先発指導群は後発指導群に比べて、腹8分目で止める者の割合が有意に増加し、BMI、空腹時インスリンHOMA指数は低下傾向を示した。しかしながら、空腹時血糖値、hs-CRPには差はなかった。本健康教育プログラムによりインスリン抵抗性の減少が示唆されたが、血糖値や炎症マーカーには明らかな影響は認められなかった。
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