研究課題/領域番号 |
15659157
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
東田 道久 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助教授 (20207525)
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研究分担者 |
喜多 敏明 千葉大学, 環境健康都市園芸フィールド科学教育研究センター, 助教授 (00283078)
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キーワード | 和漢処方薬 / 釣藤散 / 脳虚血 / DNAマイクロアレイ / PT / PCR / アルツハイマー / 補中益気湯 / 大脳皮質初代培養細胞 |
研究概要 |
「和漢薬の作用機序には遺伝子発現の量的変化が関連する」との仮説のもとに、長期投与を要する和漢薬には、病態により変化している遺伝子発現量を元に戻す作用があるものと考え、本研究を行なった。昨年までは、脳虚血・痴呆のモデル動物である両側総頚動脈永久結紮ラットの脳中で発現変化する遺伝子をマイクロアレイ法により検討し、虚血による変化を釣藤散が回復させる数多くの因子を見出した。その中にはアルツハイマー病に関連する因子が多く含まれていたので、アレイにより見つかった因子に加え、その他のアルツハイマー関連因子の脳虚血/釣藤散処置による変化を検討した。その結果、アルツハイマー病源因子とされるアミロイド前駆蛋白(APP)およびその分解にかかわる因子Neprilysin、インスリン分解酵素(IDE)はいずれも虚血4日後をピークとする発現量の増大を示した。釣藤散はIDEの発現上昇を抑制したが、その他の因子の発現量には影響を及ぼさなかった。アミロイドは長期間に渡る蓄積によってアルツハイマー病を引き起こすとされているが、この様に虚血初期においてそのmRNAの発現上昇を引き起こすことは、病態下において何らかの機能的役割を演じている可能性が考えられる。そこで、APP、IDE、NeprilysinのSiRNAを作製し、ラット大脳皮質初代培養細胞の培養開始2日後に添加することにより、それらのmRNA発現を抑制した。その発現抑制をRT/PCR法により確認するとともに、細胞形態変化に及ぼす影響について検討し、APP mRNA発現抑制は、細胞の活力低下、神経突起伸展の遅延を引き起こしている可能性を見出した。また、本研究課題により、補中益気湯の神経培養細胞遺伝子発現に及ぼす効果についてもマイクロアレイ法により検討し、発現上昇する因子232種と、減少する因子83種を見出した。
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