疲労度を客観的に定量評価できるかという本研究の目的に対し、30秒間の音声をカオス解析して得られる脳機能指数が、脳疲労の定量的指標となるかについて以下の項目を検討した。日内変動:健常人4名で、休日に1日8回音声採取を行い、脳機能指数の変動を検討した。その結果、CEM100指数(第1リアプノフ指数)には個大差はみられるものの1日を通じてほぼ一定の値であった。しかし、CEM10指数には個人間で差があるものの明らかな変動が見られた。日差変動:健常人4名で、毎朝起床後の同じ時間に14日間音声採取を行い、脳機能指数がどのように変動するかを検討した。その結果、CEM100指数には個人差はみられるものの、曜日を問わずほぼ一定の値を示した。CEM10指数にも曜日による大きな差はみられなかった。運動による変動:健康人20名に60分間エアロビクスを行ってもらい、その前後での脳機能指数の変動を検討した。CEM100指数やCEM10指数には個人差がみられたが、CEM100指数もCEM10指数も前後で大きな差はみられなかった。クレッペリン検査による変動:健康人20名に15分間クレッペリンによる計算を行ってもらい、その前後での脳機能指数の変動を検討した。CEM100指数やCEM10指数には個人差がみられたが、CEM100指数には変動が見られず、CEM10指数には上昇がみられた。今後は主観的疲労度とCEM10指数との関連について検討してゆく予定である。
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