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2004 年度 実績報告書

静脈を動脈化する手法の開発とその臨床への応用

研究課題

研究課題/領域番号 15659181
研究機関東京大学

研究代表者

前村 浩二  東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90282649)

研究分担者 今井 靖  東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20359631)
キーワード動脈 / 静脈 / 冠動脈バイパス / 転写因子 / 血管内皮 / マイクロアレイ
研究概要

静脈は従来バイパスグラフとしてよく用いられるが、長期にわたる開存が期待できない。これは動脈系と静脈系の血管の性質の相違によるものと考えらる。本研究は、静脈系と動脈系の内皮細胞の分化調節メカニズムの相違を分子レベルで明らかにし、それに基づいて、自己の静脈を動脈に変換する手法を開発することを目的とする。我々は最近、動脈と静脈の分化のkey regulatorと考えられる転写因子Cardiac hairy like factor(CHF)をクローニングした。ゼブラフィッシュではangioblastはdefaultとしては静脈に分化するが、Notchシグナルの存在下では、その下流のCHFのhomologが活性化され、静脈に分化するための遺伝子発現を抑制することにより動脈への分化を促進することが明らかになっている。そこでまずCHFを発現するアデノウイルスを作成し、このアデノウイルスをヒト臍帯静脈内皮細胞に感染させるとEphB4の発現は微増したが、動脈の表現型を示すまでには至らず、ほ乳類では他の因子も静脈の動脈化に重要であると考えられた。次にNotchシグナルの血管内皮での調節機序について検討した。その結果Notch1と4、Delta4、Jagged1が血管内皮で発現していた。Delta4は静脈系の血管内皮ではVEGFにより発現が上昇したが、動脈系の内皮細胞ではVEGFにより発現の変化はなかった。その発現調節メカニズムをさらに検討するためにヒトDelta4遺伝子の5'隣接領域7kbをクローニングしルシフェラーゼ遺伝子に結合したレポーターを作成した。このレポーターはヒト臍帯静脈内皮細胞ではVEGFにより活性が上昇したが、大動脈内皮細胞では上昇しなかった。現在VEGFへの反応性に重要なエレメントを同定中である。この部位に結合するタンパクを同定することにより、静脈の動脈化に重要な物質が明らかにできると期待できる。マウス胎児のpara-aortic splanchnopleural mesoderm(P-Sp)領域の器官培養は、in vitroにおいて中胚葉細胞の血管内皮細胞への分化を観察できる良い培養系である。現在このP-Sp培養系を用いて、血管内皮細胞がどのようにして、動脈系、静脈系に分化して行くのかを、Ephrin-B2、EphB4をマーカーとして解析中である。これらの実験で同定された因子を用いて静脈の動脈化に応用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] Kruppel-like transcription factor KLF5 is a key regulator of adipocyte differentiation2005

    • 著者名/発表者名
      Oishi Y, et al.
    • 雑誌名

      Cell Metabolism 1

      ページ: 27-39

  • [雑誌論文] Vasorin, a transforming growth factor beta-binding protein expressed in vascular smooth muscle cells, modulates the arterial response to injury in vivo2004

    • 著者名/発表者名
      Ikeda Y, et al.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A 101

      ページ: 10732-10737

  • [雑誌論文] Endothelial PAS Domain Protein 1 Gene Promotes Angiogenesis Through the Transactivation of both Vascular Endothelial growth Factor and Its Receptor, Flt-12004

    • 著者名/発表者名
      Takeda N, et al.
    • 雑誌名

      Circ Res 95

      ページ: 146-153

  • [雑誌論文] The PAI-1 Gene As a Direct Target of Endothelial PAS-domain Protein-1 in Adenocarcinoma A549 cells2004

    • 著者名/発表者名
      Sato M, et al.
    • 雑誌名

      Am J Respir Cell Mol Biol 31

      ページ: 209-215

  • [雑誌論文] Expression of Dec2 - a basic helix-loop-helix transcription factor-gene is regulated by a molecular clock system2004

    • 著者名/発表者名
      Hamaguchi H, et al.
    • 雑誌名

      Biochem J 382

      ページ: 43-50

  • [雑誌論文] 転写因子HIFの心血管リモデリングにおける役割と治療への応用2004

    • 著者名/発表者名
      前村浩二, 他
    • 雑誌名

      診療と新薬 41(9)

      ページ: 869-871

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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