研究課題
Z帯構成要素であるTcap、Cypher/ZASP遺伝子変異が拡張型心筋症の原因となることを明らかにした。一方、高血圧性心疾患の動物モデルであるダール食塩感受性高血圧(DSS)ラット心筋においてこれらの遺伝子の発現パターンを解析したところ、いずれも心肥大期に発現増加することが判明した。そこで、DSSラットモデルにおける心肥大期に遺伝子発現が亢進する新規遺伝子群についての解析を行った。DSS10遺伝子(仮称)は増殖因子様の構造をしているが、当該タンパクに対する単クローン抗体を作成し、これを用いてヒト心筋を免疫染色したところ、心筋細胞表面以外に、Z帯にも分布することが判明した。また、EGFP-DSS10融合遺伝子をラット心筋細胞に導入したところ、EGFPシグナルはZ帯に分布した。さらに、酵母2ハイブリッド法および免疫沈降法を用いて、DSS10がZ帯構成要素であるTcapタンパクと結合することを明らかにした。ついで、ヒト集団におけるDSS10遺伝子変異を検索したところ、高血圧性心筋症と有意に関連するThr326Ile変異が見出された。この変異はTcapとの結合性を約50%減弱し、細胞外へのDSS10分泌を促進するものであった。また、DSS10を発現する細胞の培養液をラット心筋細胞に作用させると、細胞肥大とサルコメア整合性の促進が観察された。以上の結果は、DSS10が高血圧性心筋症の病因と関連すること、心肥大の早期マーカーとなることを強く示唆する。これとは別に、ヒト心筋に強く発現する機能未知の遺伝子HS452(仮称)について3種のペプチド抗体を作製した。これらの抗体を用いてヒト心筋を染色したところ、Z帯および介在板に特異的に分布することが判明した。また、HS452遺伝子にはいくつかのアイソフォームが存在するため、それらのcDNAを単離しEGFPと結合させてラット心筋細胞に導入したところ、短いアイソフォームは核に分布するが、長いアイソフォームはZ帯に分布することが判明した。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
J.Muscle Res.Cell Motil (In press)
J.Biol.Chem. 279
ページ: 6746-6752
J.Am.Col.Cardiol 44
ページ: 2192-2201