研究課題/領域番号 |
15659186
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
清水 壽一郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80294403)
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研究分担者 |
中村 一文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10335630)
毛利 聡 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00294413)
梶谷 文彦 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70029114)
小林 直哉 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10325102)
片岡 則之 川崎医療短期大学, 講師 (20250681)
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キーワード | 心筋細胞培養 / 可逆的不死化 / 収縮蛋白 / 心筋線維六角格子 / 心肥大・発達 |
研究概要 |
近年、再生医工学・再生医療として心筋細胞移植および心筋組織移植を探る研究が活発に行われている。心筋細胞移植および心筋組織移植による機能回復を図る上で、自家移植がもっとも望ましいが、自己心筋の増殖は期待できず、骨髄など幹細胞からの心筋誘導、骨格筋筋芽細胞移植による心機能回復が試みられている。しかし臨床応用を考えた場合心筋細胞ソースの大量培養による増幅をはかる必要がある。この目的のため、新しい心筋細胞の増幅法として研究分担者の開発した細胞不死化システムを用い、SV40TAgによる心筋細胞への増殖能の付加に成功した。このシステムではSV40TAgを除去し細胞増殖を止めることが可能であり、臨床応用に際しても非常に有望である。 本年度はラット新生児培養心筋にこのシステムを作用させ、不死化心筋株を確立した。培養された不死化心筋株は、位相差顕微鏡での観察では通常のラット新生児培養心筋細胞と同様、桿状の細胞ではなく星形の形態をとり、拍動は認められない。心筋型のトロポニンの発現は確認されているが、SPring-8でのX線回折実験では、ラット新生児心筋や培養心筋細胞と同様、明らかな回折像は認められていない。これは、収縮蛋白の絶対量が少ない、あるいは収縮蛋白は十分に発現しているが筋節構造あるいは心筋線維六角格子構造の発達が十分でない可能性が示唆される。 今後、樹立した不死化心筋細胞株を細胞進展刺激、電気的刺激、成長過程のラット新生児の成長因子環境の整備などを通じ、収縮能の獲得、周辺の心筋細胞との電気的な接合を持ちうる細胞へ誘導する必要がある。また、そのような細胞について(1)SPring-8でのX線回折実験による極性形成とナノマシンであるアクチン・ミオシンのクロスブリッジ動態との関連(2)原子間力顕微鏡を用いた、弛緩期心筋細胞の外的応力による変形特性および収縮弛緩サイクルにおける心筋のサブ細胞レベルでの弾性率の定量的な評価(3)エバネッセント蛍光照明システムを用い極性形成と細胞膜直下の細胞骨格・接着因子との関連(4)レーザーピンセットと共焦点レーザースキャン顕微鏡による細胞外あるいは細胞内力学的刺激に伴うシグナル応答など心筋細胞極性形成とナノ・ミクロレベルの細胞機能評価を中心に解析する予定である。
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