研究課題/領域番号 |
15659199
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
川並 汪一 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70096973)
|
研究分担者 |
ガジザデ モハマッド 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (30190979)
金 恩京 日本医科大学, 老人病研究所, 講師 (10312068)
藤原 正和 日本医科大学, 老人病研究所, 助手 (20312069)
|
キーワード | 気道上皮幹細胞 / 肺腺癌前駆細胞 / 肺胞上皮幹細胞 / クララ細胞 / VII型コラーゲン / 気道上皮系基底膜 / サイトケラチン14 / サイトケラチン17 |
研究概要 |
テーマの基礎は"癌の発生は多段階におよぶ傷害にもとづく"ことにある。下気道系の粘膜上皮細胞は扁平上皮細胞を欠如する。しかし、前癌病変に扁平上皮化生があり扁平上皮癌が発生する事実は良く知られている。その肺癌のcommitted precursor cellを探すことは重要である。私たちは、この細胞の表皮への分化も視野に入れることで気道系が潜在性皮膚であることを示唆してきた。本年度は気道特異タンパク分解酵素として発見されたhuman airway trypsin-like protease(HAT)が皮膚病変形成に影響を与えるか、あるいは全く関係ないかを知る目的でHATと膜受容体であるprotease activated receptor(PAR)1, PAR2の関連を検索した。PARの活性化は細胞に増生能、サイトカイン放出能、運動性などをもたらすことで知られる。そしてPARはセリンプロテアーゼにより限定分解されて活性化されるが、HATがその代役を果たすと推測した。そこで、好中球浸潤の多い尋常性乾癬組織を用いてホルマリン固定-パラフィン標本ないし未固定凍結標本を作成し分子病理学的検索をした。その結果、病変ケラチノサイトのPAR2がHATにより活性化されそれによってinterleukin(IL)8が放出される事実を見出した。このサイトカインが好中球浸潤による病変形成に重要な役割を果たす可能性を示唆出来た。HATとPAR2が気道に見出されることから、好中球浸潤の豊富な慢性気道病変の形成において上皮の剥離と再生が繰り返される。その際新生を促す幹細胞について注目すべき基礎的情報が得られた。今後剥離と再生を繰り返す中で発生してくる上皮細胞が幹細胞由来であるとみなし、検索を継続する予定である。
|