高速in situ hybridization法は、組織を96穴プレートに固定し、in situ hybridization法のすべての過程を96穴プレートで行い、週当たり1000遺伝子程度のin situ hybridization解析をおこなう方法である。マイクロアレイ法、ディファレンシャルディスプレイ法、サブトラクティブハイブリダイゼーション法などのスクリーニング法と高速in situ hybridization法を組み合わせた効率的なスクリーニング方法の開発をおこなっている。 本年度は、サブトラクティブハイブリダイゼーション法と高速in situ hybridization法を組み合わせ、後腎(発生期腎臓)凝集間葉細胞に特異的に発現している遺伝子のスクリーニングをおこなった。後腎の凝集間葉細胞は腎臓の前駆細胞と考えられ、同細胞に特異的に発現している遺伝子は腎臓の発生再生に関わる遺伝子である可能性が高い。具体的には、胎生18日目のラット後腎のmRNAと成体マウス腎臓のmRNAとでSuppressive Subtractive Hybridization法を用いてこの後腎特異的サブトラクションライブラリーを作製した。このライブラリーよりランダムに500クローンをPCRで増幅し、塩基配列を決定した。この500クローンをプローブとし、後腎に対して高速in situ hybridizationを行なった。高速in situ hybridization法は染色の感度などには改善の余地があるものの、スクリーニング方法として十分使える方法であることがわかった。今後も改良を進めるとともに、高速in situ hybridizationで興味深い発現パターンを示した遺伝子について解析をすすめる予定である。
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