研究課題
高速in situ hybridization法は、組織を96穴プレートに固定し、in situ hybridization法のすべての過程を96穴プレートで行い、週当たり1000遺伝子程度のin situ hybridization解析をおこなう方法である。本研究課題ではマイクロアレイ法、ディファレンシャルディスプレイ法、サブトラクティブハイブリダイゼーション法などのスクリーニング法と高速in situ hybridization法を組み合わせた効率的なスクリーニング方法の開発をおこなった。後腎(胎生期腎臓)の凝集間葉細胞は腎臓の前駆細胞と考えられ、同細胞に特異的に発現している遺伝子は腎臓の発生再生に関わる遺伝子である可能性が高いと考えられる。同細胞に特異的に発現している遺伝子を効率よくスクリーニングするために高速in situ hybridization法を用いた。まず、胎生18日目のラット後腎のmRNAと成体マウス腎臓のmRNAとでサブトラクティブハイブリダイゼーション法をおこない、後腎特異的サブトラクションライブラリーを作製した。このライブラリーよりランダムにセレクトしたクローンをプローブとし、後腎に対して高速in situ hybridizationを行なった。高速in situ hybridization法は染色の感度などには改善の余地があるものの、スクリーニング方法として十分使える方法であることがわかった。本研究より、凝集間葉細胞に特異的に発現する遺伝子は同定できなかったものの、興味深い発現パターンを示す複数の遺伝子が同定でき、今後、これらの遺伝子について解析を進めていく予定である。
すべて 2004
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Hypertension Research 27・12
ページ: 971-978