研究概要 |
新規のPIであるUIC94003/TMC126はP2部位にbis-THFというユニークな構造を有し、既存のPIが主としてプロテアーゼの活性部位の側鎖に結合するのと異なり、主要活性部位であるAsp-29/Asp-30の主鎖(backbone)と極めて強固な水素結合を形成し、多剤耐性株を含む多くのHIV-1株に活性を発揮することを示した(Yoshimura, Ghosh & Mitsuya, J.Virol.76:1349-1358,2002)。更にUIC94003の誘導体で多剤耐性株にも極めて高い活性を有し、また経口吸収率も良好なUIC94017/TMC114(Koh, Ghosh & Mitsuya, Antimicrob. Agents Chemother.47:3123-3129,2003)を開発・同定、UIC94017/TMC114は現在ヨーロッパで臨床試験(PhaseII)が進行中である。既存のPIの骨格を再デザイン、多剤耐性株に対しても有効な新規のPIであるTYA5/TYB5を同定(Tamamura, Koh, Mitsuya & Fujii, J.Med.Chem.46:1764-1768,2003)、また多剤耐性臨床分離株に対しても野生株と同等の活性を発揮する新規の基本骨格を有するPIであるUIC020311を開発中である。他方、PIに対する高度の耐性獲得にプロテアーゼでのアミノ酸置換だけでなく、Gag部分のnon-cleavage sitesでのアミノ酸置換が重要である事を明らかにしている(Gatanaga & Mitsuya, J.BIol.Chem.277:5952-5961,2002)。また、最近そのようなPIに対する高度耐性発現にpoly-proteinsのcleavage sites近傍のアミノ酸の繰り返し構造付加が関連しているという知見を得ている(Tamiya & Mitsuya, unpublished)。
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