研究課題/領域番号 |
15659238
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
今井 浩三 札幌医科大学, 学長 (60117603)
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研究分担者 |
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10305229)
高橋 裕樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00264523)
石田 禎夫 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20305220)
遠藤 高夫 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40191928)
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キーワード | ErbB-2 / モノクローナル抗体 / アポトーシス / シグナル伝達機構 / 分子標的治療 |
研究概要 |
我々が作成したモノクローナル抗体CH401のアポトーシス誘導におけるシグナル伝達機構を明らかにしようとした。すなわち、アポトーシスへのシグナル伝達機構において、caspaseは中心的な制御因子として位置づけられている。さらに、caspaseの経路に関しても種々のdeath domainを介する経路、ミトコンドリアから放出されるcytochrome cを介する経路が知られている。 本研究では、このcaspaseを介する経路が関与しているのかどうか、また、その場合どのcaspaseを介するのかについて検討した。その結果、caspase 8とcaspase 3が関与していることを明らかにした。さらに、最近アポトーシスに関与するストレス応答MAPkinase経路(JNK/p38)の存在が注目を集め、われわれも研究を進めているが、このErbB-2を介したアポトーシスにおいて、JNKおよびp38の活性化が関与していることも明らかにできた。 すなわち、本モノクローナル抗体は、AktおよびERKを抑制すると同時に、JNK, p38を活性化することにより、caspase 8,3を介してアポトーシスを誘導していた。さらに、この現象はSCIDマウスを用いたin vivoの系でも認められ、組織検索においても、アポトーシス像が確認された。 さらに、MEK1/2の阻害剤を本抗体CH401と併用したところ、強力な抗腫瘍効果が得られた。機序解析により本抗体は、ハーセプチンと呼ばれる抗体とは作用機序が異なっており、アポトーシスを誘導する抗体として今後の臨床応用に期待がもたれた。
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