研究課題/領域番号 |
15659247
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田中 弘之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80231413)
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研究分担者 |
山中 良孝 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60346442)
二宮 伸介 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10325110)
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キーワード | 骨形成不全症 / COL1A1 / COL1A2 / DHPLC |
研究概要 |
骨形成不全症の易骨折性はビスフォスフォネートによって管理することができる。しかしながら、その効果は症例によってまちまちであることや、骨折を繰り返すことによって生じる骨の変形を予防するためには骨折経験の少ない乳児期より治療を開始する必要がある。これらの点は本疾患の遺伝子変異を同定し遺伝型と表現型の関連を明らかにすることにより可能となる可能性がある。しかし、本疾患の主たる原因であるCOL1A1とCOL1A2遺伝子はいずれも52個のエクソンからなる巨大な遺伝子であり、その変異を同定するためには効率の良いスクリーニング法の開発が必須である。本研究ではこのスクリーニングの方法としてDHPLC(Denatured High Perfomance Liquidchromatography)法を用いて検討した。プロモーター部分を含め全てのエクソンのエクソン-イントロン境界を挟み込むようにPCRプライマーを設計した。またアニーリング温度を60度、PCR産物は200-300bpとなるようにした。本年度は22家系27例の患者で検討を行った。全ての患者において、まずCOL1A1のproおよび52エクソンのPCRを行い、WAVEによってheteroduplex形成が疑われたサンプルをdirect DNA sequenceを行った。PCR産物1080サンプルに対してWAVEでheteroduplex形成が疑われたサンプルが188個あり、そのうち65個でイントロンにheteroの一塩基置換あるいは1塩基欠失が認められ、これらはpolymorphismと考えられた。エクソン部に認められたheteroのmutationは8個あり、そのうち6個は疾患原因変異と考えられたが、残り2個ではアミノ酸の置換を伴わないsilent mutationであり疾患の原因とは考えなかった。 COL1A1にてmutationの同定されなかった16家系において、COL1A2のproおよび52エクソンの解析も同様に行った。PCR産物840サンプルに対してWAVEでheteroduplex形成が疑われたサンプルが132個あり、そのうち45個でイントロン部にheteroのpoint mutationあるいは1塩基欠失が認められた。また、エクソン部に認められたheteroのmutationは18個あり、そのうち3個が疾患原因と思われるmutation、残りはアミノ酸配列の変化が認められないためpolymorphismと考えられた。 このようにして同定された変異のなかには従来重症型であるII型との関連が示されてきた変異を有しながら軽症であった症例が含まれていた。次年度はこれら従来の報告とは異なる表現型をしめす変異蛋白の性質の解析を行う予定である。
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