研究概要 |
「目的」神経芽腫患児の血清中遊離DNAを用い、予後因子である腫瘍のMYCN増幅、1pLOH、および17q gainの有無を推定する方法を開発し、信頼度、実用性を検討する。 「方法」血清中遊離DNAの抽出はQIAmp blood kit (Qiagen)を用い、血清200ulから抽出した。目的とするMYCN (2p24.1)、および内部標準とする2番染色体上の既知遺伝子NAGK(2p12)に対する特異的PCR primer、および特異的Probeをデザインし、DNA-basedreal-time quantitative PCR (TaqMan) を行い、神経芽腫患児の血清中遊離DNA中のMYCN/NAGKを測定した。平成16年度は新たに30例の測定を行い、平成15年度の57例と合わせ計87例(MYCN増幅例17例、非増幅例70例)で解析した。 「結果と考察」血清MYCN/NAGK比は増幅例(median 199.3,range 17.1-901.6,99%CI107.0-528.7)では非増幅例(median 0.87,range 0.25-4.6,99%CI 0.82-1.26)に比べ有意に高く(P<0.001,Mann-Whitney U test)、MYCN/NAGKのcutoff=10.0と設定した場合、sensitivity、specificityとも100%をえた。 血清中遊離DNA抽出過程での白血球混入の影響を検討したところ、増幅例のMYCN/NAGK高値は白血球の混入によって低下し、全血中の約1/40程度の混入では検出閾値以下となることが明らかとなった。精度管理上、遊離DNA抽出過程での白血球混入をさけることが重要である。平成17年度は1pLOH、および17q gainの検出も検討する。
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