研究概要 |
「目的」神経芽腫患児の血清中遊離DNAを用い、予後因子である腫瘍のMYCN増幅、1p LOH、および17q gainの有無を推定する方法を開発し、信頼度、実用性を検討する。 「方法」血清中遊離DNAの抽出はQIAmp blood kit(Qiagen)を用い、血清200ulから抽出した。目的とするMYCN (2p24.1)、および内部標準とする2番染色体上の既知遺伝子NAGK(2p12)に対する特異的PCR Primer、Probeをデザインし、DNA-based real-time quantitative PCR(TaqMan)を行い、神経芽腫患児の血清中遊離DNA中のMYCN/NAGKを計87例(MYCN増幅例17例、非増幅例70例)で測定した。 「結果と考察」血清MYCN/NAGK比は増幅例(median 199.3,range 17.1-901.6,99%CI 107.0-528.7)では非増幅例(median 0.87,range 0.25-4.6,99%CI 0.82-1.26)に比べ有意に高く(p<0.001,Mann-Whitney U test)、MYCN/NAGKのcutoff=10.0と設定した場合、sensitivity、specificityとも100%をえた。 血清中遊離DNA抽出時の白血球混入により、増幅例のMYCN/NAGK高値は低下するため、遊離DNA抽出時の白血球混入をさけることが、MYCN増幅にくらべコピー数変化の少ない1p LOHと17q gainを検出するためには不可欠と考えられた。混入した白血球を除去する手段として、15000rpmX10分の遠心分離と0.45umのフィルター濾過を試みたところ、両者とも有効であった。1p LOHと17q gainの検出の実現性が高まり、引き続き検討して行く。
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