研究概要 |
本研究は出生時の尿あるいは毛髪のニコチン・コニチンの定量により,低出生体重児の胎児期の喫煙暴露状況を正常出生体重児と比較検討し,出生後の児の発育・発達との関連,中でも軽度の精神発達遅滞や注意欠陥多動性障害などの行動の問題との関連を明らかにする目的で開始した. 本年度の研究実績は以下のとおりである. 1.正常新生児,低出生体重児を対象とする研究の計画と方法,研究対家の母親に対する説明,アンケート調査の内容等を研究機関の倫理委員会に提出し審査,承認をうけた.アンケートの内容は妊娠中および出産後の喫煙状況,喫煙に関する環境の調査で,同意を得た上で記入を依頼する方法とした. 2.尿および毛髪中のニコチン,コニチンを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定するための測定条件(カラムの選択,温度,液相の種類,流速,検出法など)について,Pichiniらの方法を参考に標準物質のニコチンを用いて確立した.このHPLC法によりニコチンの定量が可能なことが明らかとなった. 3.対象のサンプルの収集を開始し凍結保存中である.アンケート調査の回答について統計解析用に入力をおこなった. 今後は,平成16年度には引き続きアンケート調査とサンプル収集を行い,サンプル数が集まった時点で確立したHPLC法で測定し,アンケート調査の結果との相関について検討する.更に対象児の出生後の発育・発達をフォローアップしていき,日本版デンバー式発達スクリーニング検査を用いて発達検査を行い胎児期の喫煙暴露と精神運動発達との関連を明らかにしていく予定である.
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