研究概要 |
研究代表者らは、重度知的障害の症例から新規病因遺伝子の同定を行っている。同定した遺伝子の異常が胎生期の脳発達にいかなる影響を与えるかを明らかにするために、その遺伝子の二重鎖RNAを培養脳細胞系に投与し、神経細胞の形態や機能の異常を検討する。本年度は重度知的障害の病因遺伝子であるZFHX1BとPEPP2の2種類の遺伝子のsiRNAを作成し、ヒト(HEK293,SH-SY5Y)あるいはマウス(Neuro-2A,F9)の細胞に投与し、同遺伝子のノックダウンの有無を確認した。 研究結果 1)マウスZfhx1bの機能ドメイン以外の領域より4箇所のsiRNA(21bp)を作成し、マウス細胞に投与し同遺伝子の発現量を解析したが、いずれからも50%以下にはノックダウンできなかった。 2)Zfhx1bの5'側から600bpの二重鎖RNAを作成し、ダイサーで切断後、約20bpの同断片をマウス細胞に投与した。その結果、約60%の同遺伝子のノックダウンが見られた。従って、この600bpの領域に21bpのsiRNAの研究に使用できる候補配列があると考えられた。 3)PEPP2の5'側から600bpの二重鎖RNAを作成して行った実験でも、同様に約50%のノックダウンが見られた。 今後、遺伝子ノックダウンに使用できる21bpのsiRNA配列を決定し、蛍光で標識したり、psiRNA-hH1CFPzeo C2(プラスミド)に挿入したものを用いて、初代培養脳神経細胞に導入する。
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