研究代表者らは、愛知県コロニー中央病院で加療している(重度)知的障害の症例より新規病因遺伝子を同定し、機能解析を行っている。本年度は、我々が今までに同定した下記の3種類の新規病因遺伝子について、その発現を特異的にノックダウンするsiRNAをマウスとヒトについて同定した。さらに、同siRNAを過剰発現する細胞クローンをP19細胞より単離した。 1)ZEHX1B(重度の知的障害と神経堤障害を呈する疾患の病因遺伝子) 2)PLEKHA5(染色体6q16と12p12に相互転座の見られる最重度精神運動発達遅滞の症例の12p12転座断点部に局在する遺伝子) 3)CHD6(chromodomain helicase DNA binding protein 6、染色体4q33と20q13に相互転座の見られ中等度の知的障害を呈する症例の20q13の転座断点部に局在する遺伝子) 方法:ヒトとマウスの上記遺伝子(6種類)のcDNAの5'端のATGから600-800bpを含むsiCHECKベクターを作製し、各々の遺伝子に対するsiRNAを数箇所上記cDNA内より決定し、発現するベクター(pSUPER:蛍光蛋白質であるGFPを発現する遺伝子を含む)にサブクローニング後、293細胞にトランスフェクションした。その結果、目的の遺伝子を約70-80%ノックダウンする6種類のsiRNAを同定した。 これらのSiRNAを過剰発現するベクターを293細胞にトランスフェクションし、各運伝子の発現量をRT-PCRで定量すると約40-50%に低下していた。遺伝子の導入効率を約80%と考えるとsiCHECKベクターを用いた時と同様の結果を得た。 P19細胞を用いた機能解析:現在、マウスP19細胞にPlekha5とChd6を効果的にノックダウンするsiRNAを過剰発現するベクターをトランスフェクションし、G418を含んだ培地で培養後、薬剤耐性クローンを得た。今後、Zfhx1bについても同様のクローンを単離後、P19細胞をレチノ酸で処理し、神経細胞に分化させた後に、同細胞の機能を解析する予定である。
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