研究概要 |
本年度は昨年度行った自然免疫型アトピー性皮膚炎モデルマウスである特異的カスパーゼ1トランスジェニックマウス(KCASP1Tg)表皮で発現する遺伝子の網羅的解析にくわえて、同じく我々が開発した自然免疫型アトピー性皮膚炎モデルマウスIL-18トランスジェニックマウス(KIL-18Tg)についても同腹の対照マウスより得た表皮で発現する遺伝子の解析を試みた。正常対照およびKCASP1Tg, KIL-18Tg皮疹部皮膚から行いアトピー性皮膚炎発症条件における遺伝子の発現プロフィールをスクリーニングした発現強度4倍以上10倍以下のもの10数個には皮膚炎症に関連する可能性のある遺伝子が数個含まれていた。これらをアトピー性皮膚炎病因候補遺伝子とし、とくに両マウスに共通し強度10倍程度で機能的に重要と思われる1遺伝子を選んだ、その配列情報に基づいてプライマー、プローブをデザインし全配列を確認した。ついで、そのファミリー遺伝子数個を選んで、同様に発現があることを確認した。今回同定した遺伝子のmRNA発現をPCRにて半定量的に検出するとともに、特異的抗体を用いてKCASP1Tg皮疹部での発現増加を免疫組織学的に確認した。ELISAによる定量的解析、培養皮膚における発現量などを定量的に解析し、同物質が自然免疫型アトピー性皮膚炎病巣部で高発現していることを確認した。さらに、本物質により誘導されると予測される皮膚の病理学的変化について、免疫組織学的に検索し、アトピー性皮膚炎発症に強く関連することを確認した。今後、同遺伝子の高発現モデル作成による同物質のin vivoでの解析ならびにヒトのアトピー性皮膚炎皮膚での発現の検討を予定している。
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