研究課題/領域番号 |
15659278
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
利波 紀久 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60019940)
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研究分担者 |
横山 邦彦 金沢大学, 医学部付属病院, 講師 (60230661)
絹谷 清剛 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (20281024)
越田 潔 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (70186667)
川井 恵一 金沢大学, 医学部, 教授 (30204663)
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キーワード | oligonucleotide / アンチセンス / 放射能標識 / In-111 / p-糖タンパク / 多剤耐性能 |
研究概要 |
目的遺伝子導入後のがん画像診断法(遺伝子発現の体外検出)として、放射能標識アンチセンスDNAの応用可能性を検討した。がん多剤耐性能に関わっているp-糖タンパクをコードするmdr1 mRNAに対するphosphorothioate化15merアンチセンスODN (5'-TCTTCAAACTCCATC-3')の5'末端にmethylene carbon spacerを介してアミノ基を導入し、二官能基性キレート剤DTPAを介してIn111-ODN放射能標識体を得た。1、標識ODNが血清成分に結合しているのが判明し、その意義および遺伝子発現細胞へのターゲッティングに対する影響の詳細を観察した。牛胎児血清10%添加細胞培養液において、標識ODNは時間依存的に血清構成成分に結合するのが、ゲルろ過高速クロマトグラフィで確認された。結合は、合成脂質キャリアーに抱合した状態のODNでも同様に観察された。結合している物質の詳細は現時点で不明であるが、アルブミン溶液中ではODNがアルブミンに結合することが判明した。In111-DTPAあるいはIn111-mononucleotideのいずれもこのような結合を示さなかったことより、ODNの化学的修飾が結合の原因ではないことが明らかになった。2、生体内に存在するエンドヌクレアーゼによるODN代謝分解が、ODNの生体応用におけるバリアーになっている。今回の検討で、アルブミン存在下において標識ODN分解は有意に抑制された。3、牛胎児血清10%添加培養液中と無血清培養液中において、マウス白血病細胞株P388にmdr-1を誘導発現したP388/R細胞株への標識ODN取り込み率を観察した結果、血清添加培養液における取り込みが有意に高値であった。以上の結果より、In111-標識ODNの血清構成成分との結合は、目的細胞へのターゲッティングにおいて不利に作用するのではなく、逆に有利な作用を示すことが明らかになった。
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