悪性腫瘍に対する新しい集学的治療法としてRFAと樹状細胞移植を組み合わせ、腫瘍制御を格段に向上させることを目的として以下の研究を行った。 1)マウスに腫瘍細胞FSa-IIに蛍光蛋白enhanced green fluorescent protein(EGFP)を遺伝子導入して作製した細胞株FSa-II Fを用いて実験を開始した。FSa-II Fは、Scidマウスに対して容易に移植腫瘍を形成した。 2)細胞株FSa-II Fを用いて加温後のHSP70発現をインビトロレベルで検討した。45度までの加温では、加温後、経時的にHSP70発現増強したが、それ以上の温度では、細胞はapoptosisではなく、necrosisとなり、HSP70発現は低下した。 3)Scidマウスに細胞株Fsa-II Fを移植して、インビボでのRFA単独治療におけるRFAでの加温処理の方法について検討した。RFAでは、刺入型アプリケータ周囲に少ない出力で、45度以上の高温域が出現した。その周囲には45度以下の低温域が存在した。現在、この領域におけるHSP70発現を検討している。腫瘍の再発に関与するのはこの領域と考えられ、今後、この領域に対するHSP誘導と樹状細胞移植併用の効果を検討していく予定である。 今後は、細胞株FSa-II Fの宿主として、C3H-HeNマウスを用いて樹状細胞の採取と移植を行い、マウス移植腫瘍細胞に対するRFA単独治療と、マウスより抽出精製した樹状細胞を用いた樹状細胞移植併用群に分け、RFA後の腫瘍サイズの経過観察と再発の時期について、とくにHSP70発現と樹状細胞移植の時期に焦点を当てて比較検討する
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