研究概要 |
1.in vitro実験。IFN-βの直接的な細胞増殖抑制効果。IFN-β 1x10^3U/mlと1x10^4U/mlはdose dependentにIFN-βの投与回数に関わらずマウス可移植大腸癌細胞株であるcolon26の増殖を抑制した。特に1x10^4U/mlではday3、da5、day7のいずれにおいても有意にcontrolに比べて増殖を抑制し、投与回数の比較では、4回投与は、1回、2回投与に比較してcolon26の増殖をday7において有意に抑制した。以上よりIFN-βはin vitroでは高濃度でcolon26細胞を直接的に抑制することが確認された。現在、IFN-β geneをより高い導入効率で組み込むadenovirus vectorを作成している。 2.in vitro実験。a)IFN-βによる血管新生抑制効果へのiNOSの関与。Colon26を1x10^7個注入したMillipore chamberを8週齢の雌性BALB/cマウスの背部皮下に移植した。(Dorsal air sac assay、day0)。Colon26により誘導マウス背部皮下に血管新生が誘導され、これをpositive control(PC群)とした。一方、マウス背部皮下にchamberのみを移植した群では、血管新生は誘導されずnegative control(NC群)とた。治療群はcolon26を注入したchamberを移植したマウスを用い、IFN-β:1x10^5Uをday1から5日間、連日ip投与した(IFN-β群)。さらにIFN-βとiNOS inhibitorであるAminoguanidine(AG)を200mg/kg/0.2cc、2回/dayをday1から5日間、連日ip投与し治療した群を作成した(IFN-β+AG群)。day6に犠牲死させ、Millipore chamber接触面の血管新生をMCID image analyzerで解析した結果、chamberに対する血管面積比はNC群は0.17に対し,PC群では0.40とcolon26により血管新生が誘導された。また治療群であるIFN-βは0.22とIFN-βにより血管新生は抑制されたが、IFN-β+AG群では0.39とAGを添加することによりIFN-βの血管新生抑制作用は減弱した。このことよりIFN-βによる血管新生抑制効果の1つとしてiNOS誘導、NO産生の関与が示唆された。b)マウス大腸癌肝転移モデルの作成。マウス大腸癌可移植株colon26を継代培養し、controlを作成する為に、8週齢の雌性BALB/cの上腸間膜静脈より、1x10^4個のcolon26細胞を注入した(day0)。Day14に犠牲死させ、10-15個の肝転移巣を安定して作成した。これにより、LacZ、IFN-β geneを用いた治療実験を開始することが可能となった。
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