研究課題/領域番号 |
15659308
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳衛 宏宣 東京大学, 先端科学技術研究センター・科学技術振興特任教員(常勤形態)(特任助教授) (30212278)
|
研究分担者 |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
玉井 郁巳 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20155237)
江里口 正純 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(常勤形態)(特任教授) (10114406)
|
キーワード | トランスポーター / 抗癌剤耐性遺伝子 / DNAマイクロアレイ / 分子標的治療 / アニオン性PEG誘導体 / JTS-1 / DDS |
研究概要 |
DNAとポリカチオンとの高分子電解質複合体を用いたシステムが、遺伝子治療における非ウイルスベクターとして注目され、我々は、ポリカチオンとして、弱塩基性の高分子でありプロトンスポンジとして注目されているポリエチレンイミンを用い、さらにin vivoの遺伝子治療においてプラスに帯電したDNA/ポリカチオン複合体と血清蛋白との凝集を阻止するカルボキシル側鎖を持つアニオン性PEG誘導体(PEG-C)を合成し複合体の表面をコートし、DNAとの新規ポリイオン複合体を形成し、癌細胞への遺伝子導入を試みた。また、インフルエンザウイルスの解析に基づき合成されたpH依存性の膜融合ペプチドであるTS-1を加え、その遺伝子導入効果についても検討した。AsPC-1細胞におけるXgal染色では、DNA/PEI複合体よりも、DNA/PEI/JTS-1あるいはDNA/PEI/PEG-Cで修飾した方がβ-galacsitodaseの発現は増強された。さらにDNA/PEI/JTS-1/lac-PEG-Cにおいて発現効率が最も高かった。同様にBMJC細胞においてもβ-galacsitodaseの発現を認めた。ルシフェラーゼアッセイにおいても、PEG-Cを加えた複合体が、DNA/PEI単独の複合体よりも発現効率の増加を認めた。さらに、JTS-1を添加することにより、発現効率の上昇を認めた。また、Lactose修飾したPEG-Cにおいて、遺伝子の発現効率が最高であった。ポリエチレンイミンを用いた遺伝子導入において、1x10E9の遺伝子導入効率を認めたが、PEG-Cを加えることによりさらに3倍の導入効率の増加を認めた。PEG-Cにより複合体の縮小化および安定化が生じ、細胞内への導入が容易になったことが考えられる。さらに、JTS-1を加えることによりリソソームの分解を回避し細胞質内へ効率良く遺伝子を導入できること、また、Lactoseで修飾したPEG-Cを用いることにより(6x10E9)、糖鎖認識による取り込み機構により選択的な遺伝子導入増加が期待できること、がわかり非ウイルスベクターを用いてトランスポーター遺伝子治療へ応用が期待される。
|