研究課題/領域番号 |
15659333
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
郭 泰彦 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (90242718)
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研究分担者 |
岩間 亨 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (20303498)
篠田 淳 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50273131)
吉村 紳一 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40240353)
森下 竜一 大阪大学, 医学部, 教授 (40291439)
坂井 昇 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021487)
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キーワード | Hepatocyte geowth factor / Neural stem cells / Neuronal differentiation / Neuronal progenitor |
研究概要 |
この度、我々はneurosphere(以下NS)培養法を用いてHGFの神経幹細胞に対する作用の検討を行い、以下のごとく新しい知見を得た。NS法による神経幹細胞の分離において、FGF-2,EGFのgrowth factorは、必要不可欠なものと考えられてきた。しかし今回、HGFのみを含んだ無血清培養液中で神経幹細胞のマーカーであるnestin陽性で多分化能を有している細胞を含んだNSが形成されることを発見した。さらに初代培養時にFGF-2やEGFを含む培養液にHGFを加えることにより、抗アポトーシス効果と分裂促進によりNSの増加を認めた。一方、HGFのみで形成されたNSを継代すると、その数は徐々に減少していくことが示された。また、HGF存在下で浮遊培養するか、分化誘導時にHGFを加えることにより、神経細胞の比率が増加することが明らかとなった。一般に神経幹細胞の分裂は、純粋に幹細胞自身の数を増やしていくsymmetric divisionと、分化方向の規定された前駆細胞へと分化していくasymmetric division(以下AD)に分けられる。ADの初期はneuronal progenitorに分裂するneurogenic phaseとその後にglial progenitorへと分裂するgliogenic phaseが存在する。またNSの形成や分化の過程において、多くの細胞がアポトーシスにより死滅していくと考えられている。これらの知見と今回の実験結果より、HGFは神経幹細胞に対し抗アポトーシス効果を有し、主に神経幹細胞のADを促進するものと考えられた。また、分化誘導時に神経細胞の増加を認めたことから、ADの中でも特にneurogenic phaseの分裂促進に働くものと考えられた。これらの結果を下記雑誌に掲載し、現在はマウス脳外傷モデルに対する移植実験を継続中である。
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