研究概要 |
胎内水頭症治療指針に関しては、現時点で決定的な見解はない。申請者らの提唱したPerspective Classification of Congenital Hydrocephalus (J.Neurosurg 88,1998)におけるClinico-embryological Stage IIに相当する時期には、胎児水頭症病態は、不可逆なニューロン成熟障害をもたらすことを報告した。本研究は、これらの私共の業績の上に胎児水頭症に対する出生前治療を、非侵襲性直視下手術の新たな手術法に求め、神経内視鏡的に施行する機器を開発することを目的とした。 本年度の研究としては、神経内視鏡付帯機器及びマイクロカテーテルの開発は、ドイツでの共同研究のもとに大井静雄が担当し、臨床応用の検討においては産婦人科学の見地から田中忠夫が、さらに、実用化においては治療応用として大井静雄が検討を加えた。 本年度に開発を進め設計段階まで完成したフェトカテーテルは、2mm直径の外径を有し、すでに市販されている0.75mmの高画質semi-rigid endoscope(針状内視鏡システム)の挿入を可能とした。endoscope挿入時に側面に設けたインレットから手術野のナビゲーションが可能である。同内視鏡観察下にdural endoscopeの手技を用い、semi-rigid endoscopeにシースを付けたロッドをスタイレットにして、胎内脳室内に正確に脳室チューブをガイドする機能を有する。 本研究をすすめるにあたっては、今後はさらに、大動物実験モデル(妊娠山羊)を用いた基礎実験を行なう予定である。そして、胎生期後期の頭蓋冠脳室系等を参考に開発中のフェトカテーテルの挿入法・神経内視鏡導入法・短絡管設置法を実験的に確立しその実用性を検討する。
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