研究概要 |
アセチル化によるosteopontin発現がどのようなシグナル伝達介するのかを検討をおこなった。未分化間葉系細胞C3H10T1/2にアセチル化を誘導するトリコスタチンAを添加し細胞より経時的にRNAを採取しNorthern blotにてosteopontin,mRNAの発現の増強を確認した。RT-PCRにてc-Fos,c-Junの発現を調べたところ0,3,6時間後c-Fos,c-Junの発現では明らかな発現の増強は認められなかった。c-Fos,c-JunのEMSAではAP1のcompetiterを用いると明らかにバンドの減少が認められ、c-Fos抗体、リン酸化したc-Jun抗体によりスーパーシフトのバンドが認められた。これらの結果からosteopontinの発現にはc-Fos,リン酸化したc-Junが関与していることを明らかとしこれを報告した(Biochem Biophys Res Commun. 2004 Mar 19;315(4):959-63)。さらに破骨細胞形成において重要なシグナル伝達分子であるRANKLのmRNAはアセチル化において発現の亢進を認めた。またアセチル化により発現の亢進が認められる分子としてcdk inhibitorであるp21が報告されているが、c-Junのシグナル伝達の阻害剤を用いた実験ではこのおいて細胞増殖抑制の変化は認められずp21の発現シグナルはc-Junとは異なる独立した伝達経路において発現が認められることが明らかとした。c-Junのリン酸化に関与する酵素としてはJDPが報告されておりアセチル化のシグナル伝達にはJDPが関与していることが考えられた。今後の検討としてOsteopontinとRANKLがどのように関与するか調べる必要があると考えている。
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