研究概要 |
1.呼吸音3D可視化ソフトウェアVisiBreathの性能検証: VisiBreathの持つ各種機能を使い各音への可用性を検証した。診断内容が明らかで、一般性・網羅性のある呼吸音成書中のCDサンプル音を対象として、正常異常呼吸音、連続性ラ音・断続性ラ音・その他の副雑音など呼吸音聴診に必要とされる聴診音の範囲を網羅して調査した。その結果、肺音は小さいためVisiBreathの対数表示(dB)で小さい音が拡大されてよく見えるが、呼吸音全体を網羅する意味で、あえて大きくする必要がないと認識した。FFT間隔200msec以下、周波数0.1-1.5kHzで視認性が確保される。副雑音に関し、連続性ラ音その他の特殊音は、前記の設定でも実用レベルとなるが、断続性ラ音のうちfine crackle音についてはFFT間隔10msec程度、z軸挿引1-2sec程度の著しい高速性が望まれることがわかった。また、fine crackleについては、動作中の回転・拡大・移動などにより3D視点を連続的に変化させるとより視認性が高まることがわかった。また、振幅表現・カラー表現についてはsone(音圧聴感特性表現)を元にした方が可視効果が高かった。さらに、聴診音そのものが小さ音であることを意図して、最大音スケールを4sone程度に設定すると、医師の聴診感覚と画像表現を一致または補強させるのに都合が良いと思われる。 2.心音への可用性の検討 高速分析が可能になったことで、心音への応用の可能性を検討した。僧帽弁逆流のある患者では,術前聴取できた収縮期逆流性雑音が弁置換術後に消失した様子を可視化できた.心音の可視化には,およそ10msec間隔の高速解析表示・挿引速度1-2sec/1画面の描画能が必要とされた.描画された心音画像を拡大・回転・一時停止などをさせる事により視認性が高まった.この結果、呼吸音のみならず全ての聴診音を対象にできることが明らかになった。
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